ShiANさんのコンプリートセットを買ってみた

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レザークラフトの型紙を無料公開しているサイトはいろいろある。一覧にしているサイトがあるので詳しくはそちらを。

有料公開しているサイトもある。レザークラフト入門講座さんとか、ShiANさんとか。

ぼくは先日キットを使ってレザー小物を2つ作ってみた。そのときに思ったのは、「ぼくは縫うだけよりも型紙考えたり革を切ったりしたいなあ」ということ。

なので型紙作りについて語っているサイトをいくつか見たのだが、一番参考になると思ったのが「レザークラフトの基本技法1~型紙の作り方とコツ」だった。そしてこのサイトで有料型紙がおすすめされていたのと、ダイレクトにShiANさん推しだったのとで、ShiANさんの型紙に興味を持った。

コンプリートセットを買った理由

最初は「レザークラフトの基本技法1~型紙の作り方とコツ」でおすすめされている「CADソフトを使ったレザークラフト型紙設計の基本」を買おうかなと思っていた。

が、ぼくがShiANさんのサイトを見たときはセール中で、コンプリートセット(この本を含む型紙全種セット)がよくわからない安さだったんだ……。

CADソフトを使ったレザークラフト型紙設計の基本」が\2,980。コンプリートセットはその本に型紙全種(13種類)が付属して\2,792。コンプリートセット買うでしょ。

個別に買うと合計15420円分の商品となります。

ShiANコンプリートセット 説明

買うでしょ。(2回目)

んで買ったら大満足したのでダイマしようと思ってこの記事を書いた。

本について

CADソフトで型紙を作る方法は、レザークラフト入門講座さんの「CADを使ったレザークラフトの型紙の作り方」でも(無料で)解説されている。こっちで足りる人はこれでいいと思う。こちらもある程度丁寧なので。

だが有料販売しようと思うだけあって、ShiANさんの解説のほうがよっぽど丁寧だった。パソコンのことよくわからない人でもこの解説読めばソフトのインストールから型紙作成・印刷までできるんじゃないだろうか。(幸か不幸かぼくはそこまで苦手ではない)

かなり丁寧に解説されているので、複雑な型紙が作りたいときにも頼れそうだ。ShiANさんの型紙各種をアレンジして使いたいときにも役立つだろう。

型紙各種について

ShiANさんの型紙販売ページには、

本商品はあくまでも「型紙」の販売になります。
詳しい技法などを解説したものではありませんので、ご承知ください。

型紙001_ラウンドファスナーウォレット 説明

と書いてある。しかしながら解説が初心者でも作れそうなくらい丁寧。仮止めが必要なものはその説明も詳しいし、かなり親切だと思う。なんせ各型紙に10ページぐらいの解説がついてるんだから……。ぼくは初心者だが、「この説明だけで作れる気がする」と思った。(革の切り方、菱目の打ち方、トコ磨きなどは他サイト見る必要があるだろうけど)

展開図とか好きな人は型紙見るだけでも楽しいんじゃなかろうか。

セットになっている型紙各種は、それぞれ大部分の構造が違う。なのに初心者にも作れそうなシンプルな設計。ひとつひとつの構造が、型紙のデザインをしたいと思うときにそれぞれ参考になる。作る手順も含めると、抜群のお手本だと感じた。

まだ作ったことがないし、ざっと見た感じの感想になるが、各型紙に一言ずつコメントしてみる。★つきはお気に入り・挑戦してみたいアイテム。

001 ラウンドファスナーウォレット

シンプルなラウンドファスナーウォレットなので、
初めてファスナー財布にチャレンジする人におすすめです。

型紙001_ラウンドファスナーウォレット 説明

どういう形のものをどういう手順で縫っていくと財布になるのか、が詳しく解説されている。ラウンドファスナーウォレットは好みじゃないので作らないだろうとは思うが、カード入れの作り方などは「そうやって作ってるんだ……!」と感動した。(普通のカード入れだと思うけど)

002 ダブルフラップの長財布

本体のかぶせと小銭入れのかぶせを一つのギボシで留めている長財布です。
カード入れは5枚。札入れ1箇所。小銭入れ1箇所。のシンプルな財布です。
札入れと小銭入れのマチは大きくとってあるので、とても見やすい作りになっています。
縫う長さも短く、直線のみなので、レザークラフトを始めたばかりの人でも簡単にチャレンジできる財布だと思います。

型紙002_ダブルフラップの長財布 説明

パーツが少なめ、構造もシンプルで特に初心者向けっぽい財布。ファスナーつけもないし。慣れてないころに練習に作るのによさそう。この形が好みなら実用もできるだろう。

★003 丸いミニポシェット

子供用に制作した丸い形が特徴のミニポシェットです。
構造は簡単ですが、マチ部分と本体部分の穴の位置をCADでコントロールすることで、きれいな形になるようにしてあります。
(型紙には縫い穴の位置がひとつづつ記載してあります。)

型紙003_丸いミニポシェット 説明

パーツ量は少ないが、財布と違って立体的に仕上がるので、やり甲斐がありそう。肩ひもは各自で自由につけるので、肩掛けにも手持ちにもできる感じ。シンプルながら、こういうの数千円で売ってるよな~と思う。

★004 シンプルな革の名刺入れ

制作工程も少なく、難しい技法などもないので、
レザークラフトに初めてチャレンジするという人にお勧めの名刺入れです。
使用する革もA4サイズ1枚分なので、練習にぴったりです。

型紙004_シンプルな革の名刺入れ 説明

マチが大きくて枚数入りそうな名刺入れ。いただいた名刺が入れられそうなスペースもある。シンプルなのに機能充分な感じで作ってみたくなるところがいい。スナップでしっかり止まる設計なのも魅力。

005 バネホックのスリムな財布

シンプルな構成ながら使いやすさも考慮した作りになっています。
小銭入れと札入れの縫い合わせ場所を工夫することでマチパーツの無い作りになっています。
マチパーツが無くても、小銭入れ・札入れはしっかりと開くようになっています。

型紙005_バネホックのスリムな財布 説明

型紙を見た感じでは、001のラウンドファスナーウォレットとパーツはそんなに違わない。ラウンドファスナーウォレットが難しそうでも作ってみたい人は、こっちも練習にいいかも。

★006 L字ファスナーの小型財布

いっけんシンプルなL字ファスナーの小型財布ですが、
「使いやすさ」を追求して設計された財布になります。

二つ折りのお札が入る最小サイズ。
中身が見やすい大きく開くマチ。
など使ってみると計算されたサイズ感がわかると思います。

型紙006_L字ファスナーの小型財布  説明

小銭入れ的なポケットが3つある小型財布。小銭・札・レシートとか、小銭・札+レシート・カードとか……?  実用性がピンとこないなあと最初思っていたが、説明を読むと作ってみたさが上がる。

あとのほうのL字長財布の型紙と合わせて考えるとアレンジの可能性も無限大な気がする。土屋鞄みたいなのも作れそうだよね。

★008 シンプル革のショルダーバッグ

シンプルなデザインですが、ミシンで量産するようなメーカーにはまねできないような、デザインになっています。
手縫いだからこそできるデザインです。(のはずです。)

手縫いで鞄系を作るのは、縫う距離も多くて大変ですが、
このショルダーバッグは、比較的縫う距離も少なく、手縫いで仕上げるのもそんなに大変ではありません。

型紙008_シンプル革のショルダーバッグ 説明

1室だけのシンプルなショルダーだが「003 丸いミニポシェット」とは型紙の構造が違い、Dカンでベルトをつけられるようになっている。かっちりしていて理想的な形。型紙のアレンジができる能力を手に入れたら、このバッグベースで何か作れないかなと想像してしまう。楽しい。

★009 薄マチショルダーバッグ(舟形)

舟形のショルダーバッグはいろいろなものが販売されていますが、
ちょっとしたお出かけに使えるサイズ感のものがなかなかありませんでした。

このバッグは
「ちょっとしたお出かけにちょうどいいサイズ感」
を目指して設計しました。

ポイントとしては、
マチが約7cmとスリムになっていることです。

スリムですが、
500mlペットボトル・長財布・鍵・スマホ・タブレットなど
普段のおでかけに必要なものは大体入るくらいの大きさになっています。

型紙009_薄マチショルダーバッグ(舟形) 説明

これも1室のシンプルバッグ。大きいので縫う距離が長くて大変らしい(解説より)。横から見た形が△に近いので、ウェストバッグにしても使いやすいんじゃなかろうか。ファスナーは真ん中で合う形(頭合わせ)のものを使っているが、頭が横に来る普通のやつでも作れると思う。アレンジ次第で「ひらくPCバッグnano」みたいにできそう。

★010 L字ファスナーの長財布

この作品はできるだけスリムで小さいサイズ感を目指して設計しました。
ファスナーを明けるだけで、小銭・お札・カードが簡単に取り出せる作りになっています。

大きさは1万円札を折らずに入れられる最小サイズを目指しています。

そのため、同じ型紙を使用しても、革の硬さや厚みが違うことで、
微妙なずれが生じて、完成形として作品例と同じものにはならない可能性もあります。

できれば、革も同じものを使用することをお勧めします。
(絶対ではありませんが。。。)

特に外装の革が重要です。
外装の革は内縫いになるので、柔らかい革である必要があります。

型紙010_L字ファスナーの長財布 説明

ぼくはL字長財布信者なんだ。なのでこの型紙があるだけで数千円ぶんの価値があると感じた。L字長財布には高級品がたくさんある。このページが詳しい。このページの解説に則って言うと、ShiANさんの型紙は片マチのフルオープンタイプ。

この型紙は印刷して紙とホチキスで試作してみた。そうしたら作る手順を含めて深く考えられている型紙だと実感。具体的にはカード入れの部分でそう思った。

カード入れは他の長財布を参考にして作るというのもアリじゃなかろうか。ぼくが今使っているL字ファスナーの長財布は、全体的にこの型紙と近いが、カード入れ部分はラウンドファスナーウォレットバネホックのスリムな財布みたいな形なので。

有名どころの財布を真似て作るのもできそうで、この型紙にチャレンジするのが今の夢。この型紙ではカードは横に入れるようだが、財布全体の高さを変えて縦に入れられるようにアレンジしてみたい。

★011 大容量のレザーペンケース

大きくて使いやすい革のペンケースを作りました。
サイズは約18cm×約6cm×約10cmです。
上げ底仕様になっていて、しっかりと自立する作りのペンケースです。
ファスナーを開くと、開口部がオーバル型に開くため、中身がとても見やすい作りになっています。
型紙の形自体は単純ですが、寸法などはしっかりと考えて作らなければ、きれいな形のペンケースになりません。
シンプルで簡単そうに見えますが、試作を重ねて完成した型紙です。

(中略)

A4サイズの革2枚で作れる作品なので、初心者の方にもおすすめです。

型紙011_大容量のレザーペンケース 説明

ペンケースとあるが、大きさを工夫すればこの作り方で鞄が作れるんじゃなかろうか。ペンケースとしてはかなり深めなので、幅や高さを工夫するとほどよいサイズになるかもしれない。逆に大容量ポーチにアレンジする(もしくはそのまま使う)こともできそう。可能性を感じる型紙。

自立するので、立つペンケースみたいな使い方も可能かも。フタが閉められる文房具トレイみたいな……?

012 真鍮金具と革のトートバッグ

革との相性の良い真鍮金具をデザインのアクセントとしたトートバッグです。
サイズは幅約40cm×高さ約30cm×マチ約15cmです。
1拍くらいの荷物なら余裕で入る大容量なトートバッグです。
持ち手を革で挟むことにより革の質感が伝わるデザインになっています。
柔らかい革で作っていますが、しっかりと自立するところもポイントです。
内側に大きめのポケットを一つ作りました。
見る角度によっていろいろな表情を見せてくれる革のトートバッグです。

型紙012_真鍮金具と革のトートバッグ 説明

個人的にはそこまで魅力を感じないデザインなのだが、よく見たら持ち手を固定する部分が装飾を兼ねていて、オシャレというか機能美。鞄の中に大きめのポケットパーツがついている。女性向けっぽいかなーという感じ。(トートバッグ自体女性向けな気はする)

★013 シンプルな革のリュック

ランダムで自然なシボのある革を使ったシンプルなリュックになります。
収納スペースは前面ポケットとメイン収納のみになっています。

使用している革は和乃革の本ヌメ革オイルシボの黒になります。
(今後一般販売も開始予定のようです。)

できるだけすっきりとしたシルエットになるように、
形にこだわった作品になります。

型紙自体はとてもシンプルですが、
この形になるまで何度も試作を繰り返してできた作品です。

レザークラフトの観点でいくと、
縫う距離がとても長い作品になります。
そのため、手縫いで作る場合は結構大変だと思います。
(革工房ShiANではこの作品に関してはミシン縫いです。)

型紙013_シンプルな革のリュック 説明

リュックだなんて難しいんじゃ……!? って思いながら解説読んでいると、結構シンプルなので作れる気がしてくる。この型紙は特に説明が詳しく、仮留めの手順も詳細なので、説明のとおりに根気よくやっていけば本当に作れそうだ。かなり大きく開口するデザインなので、中身が見渡しやすくてよさそう。パーツごとに革の色を変えるのも面白いと思う。しかし手縫いでこれ作るのはしんどそうだな……。

基本の革トートバッグの作り方

トートバッグの型紙はシンプルで簡単なものです。
しかし、シンプルだからこそ、きれいな作品に仕上げるためには工夫が必要です。
革工房ShiANでトートバッグを作る時に注意していること、型紙の工夫点などを記載しています。
(柔らかい革でも自立するようにする工夫など)
趣味でレザークラフトをやっている人で、初めてトートバッグを作るというような人に参考にしていただきたい1冊です。

基本の革トートバッグの作り方 説明

シンプルで大きなトートバッグの作り方。ベルトも作る。シンプルながら、柔らかい革でトートバッグを自立させるための型紙の工夫も書かれていて非常に参考になる。(写真で見るとわかるが、立たせていて下のほうがシワになるくらい柔らかい革

自立する鞄が好みなので、この解説を見られただけでも価値がある。大いに参考にしたい。内側もシンプルできれいなのが魅力。

感想まとめ

もしShiANさんの型紙を全部作ったなら、初心者から中級者にステップアップできているんじゃないだろうか。そう思えるくらい様々なものを作れるし、様々な構造を学べる。

ぼくはまだ道具が揃っていないので、すぐに作り始めることはできないが、はぎれを買いたいと思っているので、買い次第いろいろ作ってみたい。

自分で型紙を作りたいときにも、参考資料としてかなり役立つことは間違いない。目標として作ってみたいものがいくつかあるが0から型紙を作る能力がないので、ShiANさんの型紙のアレンジからやっていきたい。

おまけ・憧れのL字長財布の話

L字長財布のところに書こうとしたら長くなりすぎたので、ここに書く。ぼくには憧れのL字長財布がある。それは池之端銀革店の藍染めL字ファスナーロングウォレット

機能が素晴らしいのに加えて、染めも美しい。そして値段もものすごい。機能については色違いの作品のレビューがある(他サイト)。

ところで、セイワでレザークラフト用の藍染料を売っている。(ほかのメーカーのものもあるようだけど)

セイワの解説を見ると、簡単に染められそうなのだ。

簡単に染められるいい品だったけど、セイワが廃業してしまったのでもう入手できない。

頑張ったら池之端銀革店の藍染めL字ファスナーロングウォレットみたいなのが自分で作れるのかなって思うとロマンが広がるよね。そこまで到達できるのかわからんが。

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