まるで映画。ゲーム「Detroit:Become Human」感想

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「Detroit:Become Human」というゲームを少し前にやった。だいたいの展開は見たはずだけどもうちょっとコンプ率上げたいなぁ、と思っているうちにモチベを失って全然やらなくなってしまった。

けれどもすごいゲームだな、プレイできてよかったなと何度も思ったので、思い出して感想を書く。

まるで映画のような遊び心地

「Detroit:Become Human」はまるで映画のようなゲームだ。

既存のゲームらしいUIはほとんど出てこず、映像の中で特定のキャラクターだけが操作できる。画面に慣れるまでは時間がかかるが、慣れてくると「ゲームをプレイしている」という感覚と同時に「映画を見ている」という感覚がある。独特の感覚だ。ぜひこれだけでも味わってほしい。

映画のように思うのは操作感だけではない。シナリオに関しても、キャラクターの思考や心情がほとんど言葉で語られない点が映画を見ているような気持ちにさせられた。

プレイヤーは一部キャラクターを操っているのだが、彼らが何を思っているかは、彼らの仕草や表情、台詞から推測するしかない。

そしてプレイヤーが操作できるのは彼らの「行動」だけであり、彼らが何を思うかまで操作はできない(行動の選択によって擬似的に思想を操作できる場合はある)。だから時々、キャラクターがプレイヤーの思考と離れた言動をすることがある。

プレイヤーはキャラクターに手を貸しているが、キャラクターの全てを委ねられているわけではないのだ。

クオリティの高い映像美と、実在の俳優を元にしたキャラクター、モーションキャプチャーを使った演技の取り込み、そしてシナリオの見せ方。全てが重なり合って映画のような作品世界を作り上げている、貴重なゲームだと思った。

アンドロイドは人間になれるのか

「Become Human」(人間になる)がサブタイトルなだけあって、この作品にはアンドロイドが生命であると主張し、人間と同等の存在になろうとするシナリオが含まれる。

ここが個人的に悩ましいポイントだった。

というのも、おれはアンドロイドが人間を模すことには反対だし、人権を主張するなどもっての外、アンドロイドやAIは人間の道具であるべきだしそれを変えうるような機能は付け足してはいけないという思想を持っている。

だから人間そっくりのアンドロイドが自分たちを人間だと主張し始めるところは正直に言ってとても不快だった。

とはいえこれはフィクションなので、割り切ってからはいろんなシーンを見たし、この作品のアンドロイドたちには幸せであってほしいと今では思うんだけれど……。

この作品が現実になってほしくないと強く思う。

こういった作品が感動を呼ぶことで、人間を模した機械やAIを作ろうとする人たちがまた増えるんだろうなと思うと気が重い。

それを志す人たちがいるのは仕方のないことなんだろうけれど、人類の安全が脅かされないように研究開発をしていってほしいものだと思う。

魅力的な3人のキャラクターたち

この作品でプレイヤーが操作可能なのは、3人のアンドロイドだ。

一人はひたすらに民間人のカーラ、一人は大志を抱き民衆を煽動する政治家のような立場であるマーカス、一人は人類の道具であり続ける警察のような存在のコナー。

どのキャラクターも魅力的で、それぞれがその道を歩む理由がわかりやすく描かれている。全員の運命が絡まり合っているため、ハッピーエンドを目指すにはあちこちで工夫が必要で、ゲームとしてのやり応えも抜群

初回プレイでは民間人って無力だな……って思ったなあ。カーラが幸せになるためにはマーカスの行動がかなり関わってくる……。マーカスがどう動くのが真の意味でアンドロイドたちの幸福に繋がるのか、も難しい問題だった。コナーが使命を果たし続けることが彼にとって幸福なのかどうか、も最後まで考えさせられた。

結局のところ、この作品のテーマは「Become Human」なので、そのように進むのが最も良いということにはなる。なぜなら、この作品のアンドロイドたちはほとんど人間同然の思考や感情を持っているためだ。人間として扱ってあげないと当然不幸になってしまう。

だけれどそもそもそのように作ってしまった人間側に問題があると思うんだよね。彼らに人間のような思考と感情を与えなければ、人間扱いしなくても問題にならないわけで。そう、おれは前述のような思想。倫理的にも問題でしょ、人間同様の思考と感情を持たせた上で道具扱いするって。作中でも、人間の仕事を奪うアンドロイドが多数いて人間たちも反発しているしね……。

まあこのぐらい考えさせられるシナリオという意味で、やはり良い作品だと思うよ。

ちなみにおれが好きなキャラクターはコナー。初回プレイではパーフェクトアンドロイドであってほしかったのに捜査を数回ミスしたぽんこつだった……。でもハンクとは仲良くなった。彼らの友情は尊いよな……。

入り組んだシナリオ

先のほうでもちょっと言ったけど、シナリオがかなり入り組んでいる。そしてフローチャートが見られて、細かな分岐を追っていける。

ここだけ抜き出すと、古くは「かまいたちの夜」とか、「街~運命の交差点~」とか、「タイムトラベラーズ」とかとか「レイジングループ」とか、ああいう感じのノベルゲームやアドベンチャーゲームに似ている。映像作品として見せてくる点が全然違うってだけで。

いろいろな細かな分岐が積み重なって結末に向かうのだが、収束の仕方は見事だと思った。

それともう一つすごいのが、展開の豊富さ

このゲームのシナリオ、通常の映画1本の50倍ぐらいの量書いてるんだったかな……? とにかく分岐がすごいんだよね。細かい。そしてガラッと大胆に展開が変わる分岐も結構ある。例えば後半だと、各キャラクターに大きく分けて2種類ぐらいの展開があるし……。

これだけの大作を作り上げる意欲がすごい。エネルギーも予算も相当に必要だったろうに。物語の中身も破綻無く描きたいテーマを描いていると感じるし……本当、尊敬する。

3人全員が完全なハッピーエンドに到達するのはかなり大変で、実は成し遂げられなかった。(成し遂げるきっかけは掴んだんだけど……。)

いつか改めてプレイしたときには見てみたいなぁ。

おわりに

「Detroit:Become Human」はUI面から見ても、シナリオ面から見ても映画を見ている感覚がする貴重なゲーム。制作者がこだわりと熱意を持って作り上げた完成度の高い作品世界は、一度でいいから体験してみてほしい。

おれ個人の思想とは合わなかったけれども、それでもプレイして良かったと思わされた素晴らしいゲームだ。いろんな人に遊んでみてほしいな。

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